アロマトピア誌77号
ボディサイコセラピーにみる精神面と身体一特質とそのつながり
第2回人格形成論(Character Structure)一中期
井上裕美子

アロマトピア誌77号
第2回人格形成論(Character Structure)一中期
井上裕美子

今回は、中期としてサイコパス型とマゾヒスト型を紹介します。ヴイルヘルム·ライヒ(WilhelmReich1897-1957)によるサイコパス型は、スティーブン·ジョンソン(StephenM.Johnson1985)による最近の研究で、ナルシシズム(narcissistic)型と似通っていると言われています。おそらく今日の我々の社会において、権力や成功を求める意欲によって自分を追い詰めるタイプ、サイコパス型の方が最も多く見られるかと思います。サイコパス型やナルシシズム型は、自立することや別離することに対して苦闘し、本来の自分というものを意思表示することに欠けています。また、「サイコパス」という単語は、一般的に、道徳心のない人を意味します。そのため、社会病質者の極度な否定的タイプと識別する必要があります。
「マゾヒスト」という用語は、ヴィルヘルム·ライヒによって初めて使われましたが、快感を得るために痛みを加える意味に使われる性的用語と混同させてはなりません。
一自立する権利、相手に認められる権利の要求
サイコパス型は、自立心が出てくる生後18カ月から24カ月の間に受けた精神的外傷が影響しています。この時期に、他人の要求が何かと学ぶ代わりに、幼児の本来備わっている全能の要求が制限されたことが原因となります。

Figure 1: Psychopathic type
幼児は、親または主な世話人から利己的な目的に利用され、かつ、能力以上のものを追求され、本当に自分に何が必要なのかということを全く無視されてしまいます。いわゆる、親の模範生となるように仕込まれます。またはその反対に、幼児は本来の能力以下に親から軽蔑視され、恥をかかされるケースもあります。その結果、無力さを感じ、自己の要望は否定され、この世に勢力的で自尊心が高く、自己中心の考えを持った完璧主義である偽造の自分というものを見せるようになります。このタイプは、異性の親にひそかに魅了されるという経験を得ることにより、三角関係に置かれてしまうこともあります。親は、子供から何かを得たいと思い利用します。同性の親からの支えというものが全く感じられないので、異性の親の味方となり、本当に自分に必要なものを得ることが出来ず、裏切られる思いをします。その為、親をあやつることにより心の補償をするようになります。他人を支配する為に、自分を力強く見せ、時には嘘をつくことさえあります。そして、支えられることや奨励されることを求めます。しかし、他人と接するときに、サイコパス型の人は、「あなたは、こうするべきだ」というような他人を服従させるような言い方、直接的に相手をあやつるような言い方をする為、他人からの支えなど得るはずがないのです。このように、サイコパス型の人は、強大な権力を発揮することによって、他人を支配する必要があります。相手を支配する方法としては、弱いものいじめや人を圧倒するか、人を誘惑しひそかに陰険な手段で傷つける主な2つの方法が挙げられます。たいてい、このタイプの人の性衝動は多くの幻想を伴う、敵意のあるものです。愛情を獲得するために、満足感を得ることよりも権力的行動が先に立ちます。彼らには自分自身の理想的な姿があり、優越感を得ることや他人を侮辱する強い感情を常に抱いています。彼らは、自分の要望を他人に見せることをせず、他人から自分が必要とされる状況に持っていくように試みます。これは、実は心の奥底にある劣等感を隠すためのものなのです。
サイコパス型には、攻撃的で圧制するタイプと柔弱で誘惑的なタイプの2つが挙げられます。前者は、体の上部の筋肉、特に胸部が膨張していて、がっちりした肩や腕をし、あごは上向きで、首が硬直しており、鋭い目をし、骨盤は細めで冷たくしっかりと保たれており、また発達不十分な脚(足)をしています。肩、後頭部、目の辺りに物凄い緊張が見られ、脚(足)部は弱く、地に足がついていません。体の上部と下部の間でエネルギーが充分に行き来していない点も挙げられます。後者のタイプの方がより調和がとれ、柔軟な体形をしていますが、骨盤が膨張しています。両者とも衝動的で他人をコントロールする活力にあふれ、それと同時に、体内のエネルギーが余り自由に行き来しないように制御しています。サイコパス型の体形は、失敗や挫折感に対する恐怖心に対して持ちこたえているのが現れているのです。
このタイプは、暴力団、政治家、ペテン師、ホステス、スチュワーデス等の職業に多く見られます。症状が極度な状態になると、社会病質者、ボーダーライン(borderline)型となります。
サイコパス型の人が、最初にセラビーに来て訴えることは、挫折感です。常に、勝利を勝ち取りたい気持ちで一杯ですが、他人から支えられることは、彼らにとって挫折を意味します。従って、彼らの否定的意思は、「私の意志は貫くべきである」、「私が正当であるべきで、さもなければ私は死ぬのである」といった表現を意味します。彼らは、他人を信頼することを学ばなければなりません。セラピストの最初の課題としては、クライアントのためにそこに居てあげること、真の自分を見せること、そして、彼らをあやつったり、威圧したりしないようにすることです。セラピストがこの状態を常に保つことが出来れば、最終的に信頼関係を築くことが可能になります。セラピストからは、「貴方は、私をあやつったり、誘惑したりすることは出来ません。しかし、私は貴方のためにここに居ます。そして、真実の貴方を尊敬しています。ですから、真の私にも耐えてください。貴方も他人と平等だと知ることが出来ます」といったメッセージを与えます。セラピーの過程として、人格の第一層目はマスクがかかっていることに気付き、「私が正当であり、貴方が間違っているのです」といった表現に出くわすでしょう。もっと深いところを探ってみると、隠れた劣等の自分が、「私は、貴方を支配します」と言ってくるでしょう。しかし、解決策が見えたときには、高等な自分というものが現れ、「私は屈服します」と言うのです。いわゆる、信頼関係が築かれた証拠です。マッサージを施術する際も、権勢争いのゲームに引っかからないように心がけなくてはなりません。
ビル·クリントン、メイ·ウエスト、マーガレット·サッチャー、オーソン·ウェルス、ムッソリーニ、ヴイルヘルム·ライヒ
一自分のやり方、自分のリズムでやる権利の要求
マゾヒスト型は、幼児が決意や約束事を判断し同意することが出来る、生後18カ月~30カ月の間に起きた発育上の抑制が影響しています。幼児は、この時期自己主張をし始めますが、自分の願いがかなわないことが精神的障害となります。その結果、ある主要な対象に依存するか、反対するかといったアンビバレンス(両価性)が生じるのです。自由で断言的表現をすることは、親子関係にとても重要な、親からの愛情を失うかもしれないという恐怖心によって妨げられます。母親または主な世話人からの愛情は、条件付きなものとなり、子を威圧し断念させるようになります。幼児の食事や排出器官さえもコントロールしてしまうのです。幼児は、どんな自己主張や自信の自由を求めることは恥じることだと教え込まれます。このような恐ろしい圧迫に敵対する試みは抑えられ、幼児は、わなにはまる思い、自分の希望がくつがえされた思い、そして恥をかかされた思いをします。その為、幼児は降伏し、自己表現や創造力を心の内に秘めるようになり、善良で行儀の良い自分を見せるようになります。しかし、実際には、自分自身や自我の意識というものは全く失われることなどなく、怒り、恨み、憤慨をいだくようになります。これは、エゴ(自我)というものがより形成されるからです。

Figure 2: Masochistic type
大人の世界でのマゾヒスト型は、責任感、信頼性、思いやりがあり、優しく、他人とくつろいだ関係にあり、何でもこなしていくタイプです。彼らは、充分な感情に満たされており、がっしりとした体形をし、莫大なエネルギーを蓄えています。否定的な面から見ると、自立することを常に要求され、他人と接するときにはとても礼儀正しい表現をしますが、泣きごとを言うような嫌悪感を伴うもので、間接的に相手をあやつるものの言い方をします。その為、他人からからかわれるようになり、怒りを感じ、それを表現する機会を与えられます。このように、依存するというある周期に捕らえられてしまいます。外観から見ると、辛抱し、不平や泣きごとを言い、服従しているようでも、実際には降服などしていないのです。悪意、悲観的思想、敵意、優越感、そして恐怖心を強く抱いているため、極端な怒りを激発することがあります。このタイプの男性は、インポテンツで、ポルノグラフィーにもの凄く興味を示す場合があります。女性の場合は、不感症で、性衝動は不純です。
典型的なマゾヒスト型の体形は、重くふっくらとしていて、発達過剰な筋肉でぎっしりと詰まっており、角張っていて、肩や首の辺りは体内の圧迫にふたをするように、負担がかかっているのが分かります。この体内に潜んでいる声は、非難的特質です。その他、顎、喉、そして骨盤の部分に強い緊張も見られます。お尻の部分は冷たく、圧迫され押し込まれており、手足は強くふっくらとしています。エネルギーが、喉の辺りで抑えられていて、頭が前にぐいと押されており、くぽんだ目をしています。また、胴体、手足、頭間でエネルギーが封鎖されているのも分かります。自分のエネルギーを内に秘め、外部からのエネルギーを吸収する傾向にあり、まるで防御状態になっています。このずんぐりした厚い筋肉をした体は、基礎がしっかりとしていますが、(役者ではなく、上手なダンサーにしばしば見られます。)わずかに直立した断言的力を伴っていて、品位や自尊心に欠けます。
典型的職業に、管理人、世話人、庭師、看護師、官僚が挙げられます。マゾヒスト型の症状が極度な状態になると、マゾヒズム、抑鬱症、強迫神経症障害となります。
彼らがまずセラピーで訴えることは、精神的緊張や身体的圧迫感です。しかし、無意識的に、緊張から解放されることや内に秘めているものが何かと受け入れることは、服従することであり、屈辱であると信じているため、そのままの状態になりがちです。これは、「もし私が怒りを表現すれば、恥をかくことになる」、「もし表現しなければ、恥をかくことになる」といった二重の束縛を引き起こします。これを解決するには、彼らは独断的で自由となり、精神的にオープンになることが必要なのです。マゾヒスト型の人は、自分自身を見せることや自発的になることで、拒絶されるだろうという恐怖心を常に抱いています。失敗することで、極秘の復讐を抱き始め、計画を台無しにしたり、お金を忘れたり、自分を改善しないように仕向けたりします。彼らには、例え嫌だと思っても、かなりの自分のスペースが必要であり、多くの時間や、多くの人から受け入れられることで、彼ら自身のリズムを取り戻し、誠実な自分を見る機会を与えられるのです。セラビストからは、「貴方自身そのものを受け入れます。また貴方が自分自身を受け止められるように手助けもします。自分自身のために行ってください」というメッセージを与えます。
セラピーを行う過程で見られるパターンは、人格の第一層にかかるマスクからは、「私は、貴方に殺される(傷つけられる)前に、自殺します(自分を傷つけます)」というメッセージが伝わってきます。しかし、何度かセラピーで内に秘めているものを探るうちに、劣等の自分が意識され始め、「私は貴方に意地悪することで挑発します」というメッセージに変わります。これは、最終的には高等な自分から解放され、「私は自由の身です」と思える結果をもたらします。セラピストは、精神的にも身体的にも、クライアントにまずプレッシャーをかけることを避けなくてはなりません。
クイーン·エリザベス2世、スペンサー·トレーシー、ジョン·プレスコット、マーロン·プランド、ティナ·ターナー
