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アロマトピア 44

トリニティー·ホスピスボランティア井上裕美子さん

“患者さんの笑顔に私は支えられています”

Aromatopia interview - インタビュー

アロマトピア誌44号の表紙
井上裕美子の画像

大妻女子短期大学英文実務科卒ブリヂストン勤務現代トラベルロンドン勤務制作会社アシスタントプロデューサーハーバートハウスで2年半勉強ティスランド·インスティテュー卜卒ベイリースクール·オブ·リフレクソロジー卒その他インディアンチャビサージ、マニュアルドレナージ、レイキ、ポストグジュエートーアドバンス·クリニカルアロマセラビー、オリエンタルダイグノーシスコースも参加。現在ヘルススパ、ヘルスクラブ勤務。2000年1月よりトリニティーホスビスボランティア9月より「チロン」–センターフォー·ボディー·サイコセラピーを始める

今回はロンドンのホスピスでボランティアをなさっている、日本人アロマセラピスト2人をご紹介します。お二人ともティスランド·インスティチュート卒、クレア·マックスウエルハドソンのカンサーケアー(ガン患者のためのアロマセラピーコース)を終了し、現在ロンドンのトリニティー·セントジョンホスピスで働いていらっしゃいます。(聞き手:高橋房江)

高橋:高橋:トリニティー·ホスピスのデイセンターでボランティアをなさっていますよね。デイケアについて簡単に教えていただけますか。

井上:井上:トリニティホスピタルのデイセンターは曜日により、利用者の年齢が決まっており私の行く火曜日はお年寄りの日です。患者のデイセンターの1日はホスピス職員の迎えに始まり、10時より3時までの5時間を過ごします。ここではエクササイズやアートセラピーが行われ、昼食も支給されます。普通の生活のできる人、通常約20名がデイセンターに参加することができます。ホスピスは国営医療なので入院、デイセンター参加料など無料ですが、ホスピスの経営は苦しいために長期間デイセンターに来ることはできません。3ヵ月ごとに患者の容態を考慮にいれ、患者がここに残るべきかの話し合いがされ、容態の向上した人などはそれ以上来ることはできません。しかし、アートセラピーや、心の内を語れる友人との出会いの場に参加できないことがわかると同時に、患者は病気の容態をひどく悪化させることがあります。ここのアートセラピーはすばらしいものでセラピストの質が高いためか、患者一人一人が作品を作る喜びをえており、そのため作品の完成度は非常に高いものです。ここでは陶芸、刺繍など毎回テーマの違った作品を作り、作品はホスピスの運営資金のために売られます。昨年3月にこのホスピス主催の仮面パーテイが、有名なロンドンのホテルで行われましたが、その非常に美しい仮面を患者が作りました。仮面の売り上げはトータル6万9千ポンド(約1400万円)にもなりました。私は今でも真剣に仮面を作っていた姿が忘れられなく、今は亡き人となった人たちを思うと少し悲しくなります。

高橋:高橋:「ホスピスのアロマセラピー」ではどのようなことに注意しますか。

井上:井上:乳ガンでいえば、ガンのある箇所から2.5cm内には触れません。学校のガンのコースでは転移の箇所には触ってはいけないといわれましたが、腰への転移で痛みがありマッサージを希望する人が多いため、やさしく触る(エフラージュ)程度ならよいとトリニティーでは言われています。また転移のため骨の周りの筋肉が固くなっているのでマッサージをしてゆるめてあげるのはよいということです。他のホスピスではだめだと聞きましたが学会でそのような話しがされました。

高橋:高橋:どのような精油を使用しますか。

井上:井上:デイセンターでは20種くらいの精油を使います。ラベンダー、ゼラニウム、マージョラムが人気です。夏はさっぱり系のサイプレス、ジュニパーが好まれます。病気に対しての不安感や、心配には心を落ち着けるフランキンセンスをよく使います。ベルガモットは免疫を高めるオイルでこれも人気があります。だるいとか、眠いという場合気持ちを高揚させます。ジンジャーもよく使いますが、人によってはこのオイルは強すぎるようです。ネロリはショック状態のとき、ペチグレインも同じように使えます。患者のその日の気分や、痛みの様子を聞き、2種類のオイルの匂いを嗅いでもらい、その人の好み、あとは私の直感で決めます。

高橋:高橋:精油の濃度は何%ですか。

井上:井上:1%です。つまり10mlに2種類のオイルを1滴ずつ使用しています。

高橋:高橋:その他の使用法はありますか。

井上:井上:ホスビスではコストがかかるため、個人用にクリームやオイルを作ってあげるのは禁止となっています。家で使用する場合はディフューザーを買っていったことはあります。そのときはリラックスするようなラペンダーやローマンカモミールを使ってもらいます(他のホスビスでは痛みや不安で眠れない患者にお風呂で使ってもらったり、枕にラベンダーをたらすようなアドバイスもしていました)。

高橋:高橋:どの部位をよくマッサージしますか。

井上:井上:肩(肩こりのため)、腰、足(関節炎の患者が多いのです)をよくします。心臓発作に最近あった人は左手がだるかったり、よく眠れない人はリラクゼーションのためのゆったりしたマッサージを行い、痛み止めのモルヒネを多量に使っている人には元気になれるようなマッサージを心がけます。ただ、この場合夜眠れなくなるのではないか心配なのですが。

高橋:高橋:ホスピスで働いていて、一番うれしいことは、今までつらかったことは?

井上:井上:みなさんアロマセラピーを受けることに対してたいへん感謝してくれます。自分がなにか人に感謝されることができているのだなというのはとてもうれしいことです。つらかったのは「マッサージを受けたそうだな」という人に、忙しさと私の内気さから声をかけてあげられなかったことです。この人はそのうち杖をつくようになり、それからしばらくして亡くなってしまいました。勇気をだして声をかければ良かったと今でも後悔しています。また、最近亡くなった前立腺ガンの男性は尾てい骨に転移が進み、痛みがその周囲にありました。この方はいつも私が来るのを楽しみにしていて、私が見えると遠くから手を振って待っていてくれていました。自分が必要とされているんだなと思ったものでしたが突然亡くなってしまい、とてもやりきれない気持ちです。